
投稿日:2026年10月2日
インストラクターのための、やさしい解剖学。暗記より、身体を見る目を
ピラティスの解剖学は、暗記するためのものではありません。
お客さまの身体を、より細かく見るためのものです。
覚えておくと役に立つ言葉を、ここまで絞りました。
「筋肉の名前を、全部覚えないといけない」でしょうか
「解剖学が苦手です。名前が覚えられません。」
そういう声を、よく聞きます。
でも、暗記する必要は、まったくありません。
テストがあるわけでもありません。
解剖学は、もともと医学の分野です。
筋肉、関節、骨、神経、血管の名前を扱います。
ただ、名前を覚えるだけでは、動きには届きません。
ピラティスで学んでほしいのは、
「動きの解剖学」です。
忘れてしまってもかまいません。
「そういうものがある」と知っているだけで、
身体の見え方が変わります。
先に、痛みについての考え方
用語の前に、大切なことをお伝えします。
身体の状態は、優劣ではなく個性です
「この姿勢をとると、股関節が痛みます。」
お客さまから、こう言われることがあります。
人の身体は、いまの状態で、つじつまが合っています。
身体の状態は、優れている、劣っている、ではありません。
個性です。
ただし、日常生活に支障が出ているなら、話は別です。
それは個性ではなく、医療機関で診ていただくことです。
痛みを改善するのは、治療家です
痛みを改善するのは、治療家の仕事です。
私たちの仕事は、動きを改善することです。
歩く、座る、立つ。日常の動きです。
私たちは、診断をする仕事ではありません。
触って治す仕事でもありません。
だから、痛くない範囲で動かします。
運動ができないほどの痛みがあるなら、
まず、医療機関や治療家に診ていただく。
痛みが引いてから、軽い負荷で動かしていく。
この順番を、守ってください。
それは、学ぶチャンスです
お客さまの悩みに出会ったら、
学ぶチャンスをいただいた、と考えてください。
股関節は、どんな仕組みなのか。
どの筋肉が関わっているのか。
どのエクササイズで、その筋肉を使えるのか。
毎回、新しい提案を持ってくる先生に、
お客さまは「続けよう」と思ってくださいます。
覚えておくと役に立つ言葉
身体を見る、3つの面
| 面 | 身体をどう分けるか | 主な動き |
|---|---|---|
| 前額面 | 前と後ろに分ける | 外転、内転(横に開く、閉じる) |
| 矢状面 | 右と左に分ける | 屈曲、伸展(曲げる、伸ばす) |
| 水平面 | 上と下に分ける | 内旋、外旋(内に回す、外に回す) |
たとえば、横から見て、曲がっているか、伸びているか。
これは、矢状面の動きを見ています。
「いま、どの面の動きを見ているのか。」
それが分かると、直すときに自信が持てます。
筋肉の、2つのタイプ
筋肉の仕事は、骨を動かすことです。
そして、縮む速さの違う、2つのタイプがあります。
| 速筋(白い筋肉) | 遅筋(赤い筋肉) | |
|---|---|---|
| 縮む速さ | 速い | 遅い |
| 得意なこと | 素早く、大きな力を出す | 長い時間、縮み続ける |
| 苦手なこと | 長く続けること | 瞬間的に力を出すこと |
| 陸上でいうと | 100メートル走 | マラソン |
| 魚でいうと | ヒラメ、カレイ(白身) | マグロ、カツオ(赤身) |
ピラティスは、どちらかというと遅筋寄りです。
瞬間的に速く動くエクササイズは、あまりありません。
筋肉の、3つの縮み方
筋肉は、縮むことしかできません。
その縮み方に、3つあります。
| 縮み方 | 筋肉の長さ | たとえば |
|---|---|---|
| 等尺性収縮 | 変わらない | 手と手を押し合っているとき。形は変わらないが、力は入っている |
| 求心性収縮 | 短くなる | 持ち上げるとき |
| 遠心性収縮 | 伸びていく | ゆっくり下ろすとき、引いたものを戻すとき |
ピラティスのエクササイズには、
この3つが、1つの動きの中に入っています。
スプリングを引く、という動きが、それを可能にしています。
よく考えられているな、と思います。
お客さまに合わせて、学びを深める
お客さまには、いろいろな方がいらっしゃいます。
家事や子育てをされている方。スポーツをされている方。座って働く方。
それぞれに、よくする動きがあります。
目の前のお客さまの、日常の動き。
そこから解剖学を学ぶと、自分のものになっていきます。
まとめ
- ピラティスの解剖学は、暗記ではなく、身体を見るためのものです
- 痛みを改善するのは治療家。インストラクターは、動きを改善します
- 3つの面、2つの筋肉のタイプ、3つの縮み方を知っておくと、見え方が変わります
あなたは、目の前のお客さまの、
どの動きから学び始めますか。
よくあるご質問
Q. 解剖学は、どこまで覚えればよいですか。
暗記する必要はありません。身体を見る3つの面、筋肉の2つのタイプ、3つの縮み方を「そういうものがある」と知っておくだけで、お客さまの身体の見え方が変わります。
Q. お客さまに痛みがある場合は、どうすればよいですか。
痛くない範囲で動かします。日常生活に支障がある場合や、運動ができないほどの痛みがある場合は、医療機関や治療家に診ていただくことをおすすめしてください。インストラクターは、診断や治療をする仕事ではありません。
Q. 速筋と遅筋は、何が違いますか。
速筋は縮む速さが速く、素早く大きな力を出せますが、長くは続きません。遅筋は縮む速さが遅く、長い時間縮み続けることができます。
あわせて読む
フットワークで見る3つのポイント。足を置く位置から、レッスンを始める
この話を動画で見る
書いた人
関口智弘(MOHI)
MOHI Pilates Founder。ピラティス指導歴20年。
2012年に MOHI Pilates を創業し、これまでに300人以上のインストラクターを育成。
代表プロフィール
養成コースについて
身体の見方は、実際のお客さまを前にして学ぶと身につきます。
